ただ、一方で、これはちょっとやそっとのことではびくともしないだろうという、屈強な和製英語がある。スルーパスとハンドだ。スルーパスという言葉はなかなかの発明である。恐らく、英語では一つの単語で表現できる言葉はないのではないだろうか。故にスルーパスはこの先も生き残りそうである。一方、ハンドは、正式にはハンドボールとなるわけだが、日本語の語感上、ハンドボールと呼ばれる日は来ないと思う。よく、プレミアリーグの中継を見ていて目にするのが、ハンドと疑わしきプレイがあると、スタンドから大音量で“handball!!”と声が上がるシーンだ。
あれは、いかにも「本場」という感じでかっこいい。ただし、これは英語だと、ハンドの“d”が殆ど発音されないので咄嗟に口に出す上で何の支障もないのだが、カタカナ発音になるとどうしても「ハンドボール」となってしまい、これだと、咄嗟に口に出てきづらい。やはり、「ハンド、ハンド!」とやったほうが、言いやすいし、日本語的な語感にピタッとフィットしていると思う。それにしても、どうして人はハンドを目撃すると、思わず「ハンド、ハンド!」とハンドを二回連呼してしまうのだろう……。
”- フットボールと和製英語に関するちょっとした考察 : コラム | J SPORTS