宇多丸 うん。さっき星野さんが言ってた、友達のバンドを観て「ああいうの恥ずかしい」って思ったというエピソードが象徴的だと思うんですよ。逆にそれを観て「自分もやりたい」って思う可能性だってあるわけじゃないですか。でも、星野さんは「恥ずかしい」と思って、安直にバンドをやらなかった。音楽に関して言うと、「ああいうの恥ずかしい」って感覚がみんな希薄すぎると思う。表現したいという欲は、なんでも“良きもの”みたいな風潮があるけど、それは全然違うと思う。
星野 すっごいよくわかります。恥ずかしさに対して「見ないようにしてるな」ってよく感じます。そこに触れようとすると「邪魔するな」みたいな感じになる。それが嫌で。恥ずかしいものは恥ずかしいし、人前に出るってことは全て恥ずかしいことだと思うんです。でも「恥ずかしいから俺は嫌だ」と言って、何もやらないのもダサい。だから結局は「自分のフィルターをいかに持つか」ということが重要になってくると思うんです。
”- ナタリー - [Power Push] 星野源