“本当に一番大切な物が恋愛しかない国の国技は、大相撲ではなくむしろサッカーが相応しいでしょう。これは経験則ではなく、推測ですが、あらゆるスポーツの中で、サッカーはもっとも八百長が難しいからです。ライオンに人を喰わせるとき八百長は出来ません。ヨーロッパ人が考えつく物というのはそういうものであって、我々は花見のようにして、スポーツなんだか神事なんだか解らないものの美しさや派手さや粋を楽しむ力があったのですが、スラングをつかうならば、それはすっかり奴らにヤラれてしまいました。「食い物が無ければ、相撲も粋もへったくれも無いだろう。ワーキングプアの実情を知れ腐れプチ貴族めが」というのは暴論でも間違いでもない、しかし喉が渇いても腹が減っても、オトナの、特に下町の人間の属性として、あらゆるやせ我慢をしてでも相撲を見る事は出来る。相撲さえそこにあれば。そしてそれは毎日決まったように6時に終わるのです。”
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