“安彦 よく言われるのは戦前っていうのはそんなに暗い時代だったのかという、これは面白い問いかけじゃないかと思うんですね。明治人がそのまま依怙地に国を維持してきて、それがぽっきり折れちゃったのが大東亜戦争の敗北なんだと。だから、それまでは大変重苦しい時代だったんだと我々はイメージしてきたんだけど、そうじゃなくて、もちろん大正時代っていうのは民主主義の時代で結構いい加減で明るい時代だったんだけど、大正時代に限らず昭和に入ってからもそんなに暗かったわけではないんじゃないか。流行り歌で♪うちの女房にはヒゲがあるとか、空には今日もアドバルーンっていう明るい歌があった。ああいう歌にうたわれたサラリーマンが赤紙で戦場に行ったっていうことのほうが非常にコワいことだと思うんですよ。”
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安彦良和・松本健一 対談
(via hirai)